ダーツをしていれば、一度は『アレンジ』という言葉を聞いたことがあると思います。
アレンジの話は直接的に『ダーツを投げる』ことに関して役に立つ話ではありませんが、アレンジを知っているかどうかで試合の展開を有利に運ぶことができるため、特にプロの方は必須スキルとなっています。
『なんとなく知っているけれど、よくわかんないんだよね』『覚えたいんだけど、なかなか覚えられない』など悩む人も多いのではないでしょうか?
今回はそんなアレンジの身につけ方や考え方などをお話ししていければと思いますので、ぜひ読んでいってください!
アレンジは3種類ある?
実はそもそもアレンジと一言で言っても、種類がたくさんあるのを知っているでしょうか?
おそらくアレンジを知っている人も分類して考えている人は少ないと思いますが、アレンジは
- 501で早く上がり目を出すための手順
- ダブルアウトの可能性を最大化するための手順
- 次のラウンドで上がる(もしくは上がりやすい)ように数字を整える
の3種類に分類されます。
これらの3種類は、厳密に言うと試合のどの段階であるかを分類したもので、3種類それぞれをアレンジと呼ぶこともありますし、総称してアレンジと呼ぶこともあります。
『なんかよくわからないな』と思う方もいらっしゃると思いますので、これらのアレンジの違いを簡単に下の表にまとめると、
手順 | 早く上がり目を出すための手順 | ダブルアウトの可能性を最大化するための手順 | 次のラウンドで上がる(もしくは上がりやすい)ように数字を整える |
数字 | 350~171 | 170~2 | ゲーム中いつでも |
誰向け? | 中級者〜上級者 | 初級者〜中級者 | 全員 |
補足 | 次のターンのことも考える必要性アリ | 考慮すべき数字の組み合わせは多い | 特にチェックアウト時に整えられるかどうかは大事 |
となります。
最終的に全て覚えてしまうことがベストですが、特に自分が必要だと感じるものを優先的に覚えていきましょう!
アレンジは自分で作っていくもの
アレンジについて簡単に理解してもらえたところで、一つ覚えておくべきことがあります。
それはアレンジが『人から教えてもらう』ものではなく、『自分で作らなくてはいけない』もの、ということです。
なぜならアレンジは『自分が勝つためのマニュアル』になるので、最終的には『自分のプレースタイルや好みに合わせたアレンジ』を完成させなくてはいけないのです。
とはいえ、いきなり『自分のアレンジを作れ!』なんて難しすぎると思いますので、段階的にアレンジの身につけ方や考え方、参考程度のアレンジを紹介していこうと思います。
アレンジの身につけ方
仰々しく『アレンジの身につけ方』と言うタイトルになっていますが、やることは単純です。
それは、
- アレンジのテンプレを覚える
- 実際に投げてみる
- 自分のアレンジを作る
の3つです。
意外とやることは少ないのですが、中身は随分と濃いので『アレンジを身につけるには多少時間がかかるもの』と念頭に置いておきましょう!
アレンジのテンプレを覚える
初めにアレンジのテンプレを覚えてしまいましょう。
『いきなり暗記なの?』と感じる人もいらっしゃるとは思いますが、テンプレを覚えておくと後々自分でアレンジを改良していく際にスムーズに作業が進みますので、頑張りましょう。
まず、絶対に覚えておきたいアレンジは『ダブルアウトの可能性を最大にする』アレンジです。
以下スプレッドシートで作ったアレンジ表を下に置いておきますので、興味があればご覧ください!
このアレンジ表は
- 極力同じナンバーを狙うことができる
- 視線の移動が最小限に済む
ことがポイントになっています。(もしもアレンジ表の中で「ここ違うんじゃない?」とかありましたら、コメント等でお知らせいただけると嬉しいです!)
次に『早く上がり目を出すためのアレンジ』と『次のラウンドで上がる(もしくは上がりやすい)ように数字を整える』ですが、以下の記事でまとめられていますので参考にしてみてください!
低い残数で考えることは、 だと思います。高い残数で考えることは、 だと思います。「楽な組み合わせにすること」とは、トリプ…
内容はとても濃いですが、多くの条件下でのアレンジ考察となっていますので是非一度は読んでみましょう!
実際にアレンジ通りに投げてみる
前章で紹介したアレンジのベースをある程度覚えたら、次は実際に投げてみましょう!
『投げる必要はあるの?』と疑問に思う方も多いと思いますが、頭の中でわかっていても行動に移すのはなかなか難しいものです。
ですので、実際に投げて体でアレンジを覚えてしまいましょう。
結果的にはこの方法が一番身につきますし、これができる様になればダーツを投げることに自分の意識を集中できる+ダーツのパフォーマンスが上がりますので、アレンジを覚えたらその通りに投げてみましょう!
自分のアレンジを作る
実際に覚えたアレンジ通りに投げてみた時に
『なんかちょっと投げにくいな』
『苦手なゾーンがあるから避けたいな』
など、自分のパフォーマンスによっては合わないものが出てくると思います。
そのような場合は、自分で投げやすいパターンを探してどんどんアレンジを改良していきましょう!
もちろんテンプレ通りに投げてもOKですが、アレンジは『自分が勝つための戦略』なので、自分が早く上がれるようにすることが1番大事ですので、真剣に考えておくのがおすすめです。
ただ、自分のアレンジを作る上で注意したいのが『外野からの声』です。
『この時はこうした方がいい』
『そこはそうじゃないんじゃない?』
など、いろんなアドバイスや意見などを聞いたりすることになると思います。
何度でも言いますが、アレンジはあくまでも『”自分が”勝つための戦略』ですので、自分が納得できるもの以外は特に気にする必要はありません。
究極的なことを言えば『勝てば官軍』です、自分の道を突き進んでいきましょう!
補足:PDCなどを見て参考にする
既に触れてしまっている内容にもなるのですが、
- ダーツの大会を見るのが好き
- 大会を見る余裕がある
などに当てはまる人は、アレンジをPDCプレイヤー達の試合から学ぶ方法もおすすめします。
基本的のどのプレイヤーでも参考になるとは思いますが、個人的にはジェフ・スミスのアレンジが勝つためのアレンジとしてとてもお手本になりますので、一度でもいいので試合を見てみてください!(PDCに移籍した後のものより、BDO時代の動画があればそちらの方が数が多いので少し探してみてください。)
アレンジの考え方
前段でアレンジの身につけ方について話しましたが、次は『自分のアレンジの作り方』につながる、アレンジの考え方についてです。
これは本当に大事な部分ですので、確実に覚えておきましょう。
ダブルアウト前提で考える
ソフトダーツではマスターアウトかシングルアウトでゲームを設定することがほとんどなのであまり馴染みがないかもしれませんが、ハードダーツは基本的にダブルアウトとなります。
些細なことではあるのですが、マスターアウトかダブルアウトかというのはアレンジにおいては非常に重要な要素になります。
というのも、マスターアウトで上がれる数字でもダブルアウトでは上がれない数字があるのです。(ex.180,177,174,171,168,165,162,159)
また、ブルの扱いもハードダーツではセパブル(アウターブルが25点、インナーブルが50点)となっていますので注意しましょう。
外した時のことを考える
ハードダーツのアレンジの共通した考えの一つに『基本外した時のことを考える』というものがあります。
ハードダーツはソフトダーツに比べて的が小さく、どんなプロでも狙ったところから外れることは多々あります。
ですので、アレンジも『トリプルが入った時』を前提にするのではなく『シングルや隣のナンバーに入ってしまった時』でもダブルアウトのチャンスがあるように作っていくことをお勧めします。
また基本的に20を狙ってダーツを投げることになると思いますが、残り数字によっては19や18など他のナンバーを狙う必要があったりします。
詳しくDOLLYさんのTwitterをチェックしてみてください!
自分の得意ナンバーに応じてカスタマイズする
ある程度ダーツを投げていると、自分の得意なナンバーやダブルが出てくると思います。
また、ダーツを投げるその日のコンディション等でよく入るダブルがあったりすることもあるでしょう。
そうすると、アレンジを考えていく中で得意なナンバーやダブルを考慮しておくことや、ダブルの出し方のパターンを増やしていくことがとても重要になっていきます。
自分の投げたダーツの癖を考慮する
これは要するに『自分のダーツが高さで合わせるのが得意か、縦ラインで合わせるのが得意か』を知っておこう、ということです。
具体例として、58点という数字を出したい時に
- S20→S20→S18
- S20→S19→S19
の2パターンで考えてみると、S20→S20→S18は同じ高さで狙い続けられます。
一方、S20→S19→S19の場合は同じ高さではありませんが、縦ラインがほぼ同じ状態で狙うことができますよね。
このように、自分がどちらが得意か・苦手ではないかを考えておくことはとても大事になってきます。
特に試合などで緊張した場合に上手くダーツを投げられない、という方は意識してアレンジを作っておくことをオススメします。
自分の手持ち本数や相手の残り点数に応じてアレンジにパターンを持っておく
この内容はハードダーツ中級者以降の方のみで構わないので、読み飛ばしていただいても構いません。
自分の手持ち本数(3本 or 2本)や相手の残り点数(相手が上がれる点数かどうか)によってはアレンジを行う際に狙う場所を変えて数字を整えたり上りに行った入りする必要が出てきます。
例えば、
- 相手がまだ上がれない点数なので、無理せず自分の得意なダブルに数字を整える
- 相手が上がれる点数になっていて、自分が64残り2本持ちの時に14を狙う
などです。
この状況下であればこうする、といった作戦としてもアレンジはとても重要になりますので、可能な限り考えておきましょう!
おまけ:アレンジにおけるボード上の安全圏
見出しからして一体何のこっちゃ?と思う方もいらっしゃると思いますが、要は『自分が狙ったところからダーツが外れてもダブルアウトの可能性が残りやすいエリアがボード上にいくつかある』ということです。
そのエリアは
- 16・8の倍数組み合わせ
- 7・19・3・17の奇数組み合わせ
- 10・6の偶数組み合わせ
の3箇所になります。
これらのエリアは実際にアレンジを考えていくととても実感しやすいのですが、特に狙ったところから左右にズレた時に上がり目を出すチャンスが残りやすいのです。
最低限この3箇所を知っておくだけでも、ダーツを投げて狙ったところに行かなかったとしても安心できると思うのでぜひ活用しましょう!
おわりに
基本的には、以上のことを考えながらアレンジを作る→実践を繰り返しながら自分のアレンジができていくので、日々ダーツを投げながら自分のアレンジをより良いものにしていきましょう!
ダーツのアレンジは一度考え始めるととても深いです。
アレンジを身につけるのは決して簡単ではありませんが、その分とても大きな武器になりますので頑張って身につけていきましょう!